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2020年3月19日
[西日本発着国際フェリー、航空貨物の受け皿に]―市場注目

  新型コロナウイルス問題が収束を見せない中、西日本と中国・韓国を結ぶ国際フェリー船社が、航空貨物輸送の受け皿となりそうだ。同問題を受けて一部船社が2月は欠便するなどの措置を取ったが、旅客対応を取りやめたり、感染症予防の取り組みを強化するなどして、3月以降は各社とも運航している。航空貨物輸送の休止や減便が進む中、高速性やコスト面で対抗できる国際フェリーには、代替候補としてフォワーダーから引き合いも入っているという。

 西日本と中国や韓国を結ぶ国際フェリー航路では、4日時点で下記5社とも貨物輸送を行っている。

日中国際フェリー(「新鑑真」、神戸・大阪-上海)、

上海フェリー(「蘇州號」、大阪-上海)、

サンスターライン(「パンスタードリーム」、大阪-釜山)、

関釜フェリー(下関-釜山)、

カメリアライン(博多-釜山)

 

 日中間の国際フェリー2社は2月に入り、一部の便を欠便した。春節(旧正月)の荷動き減を見越した運航スケジュールに加え、新型コロナウイルス問題を受けて欠便数を増やしたが、当面旅客扱いをせず貨物だけの輸送で運航を再開した。

 関釜フェリーは3月1-14日の間、同社船「はまゆう」の旅客扱いを取りやめるが、貨物輸送はサービスを継続する。カメリアラインは日曜日の博多発は運休するが、貨客とも通常運航している。貨客双方で取り扱いを続けるサンスターラインは、感染症対策を強化するほか、自社発券チケットの有効期間延長などの措置を取った。

 旅客面で新型コロナウイルス問題は大きな打撃をもたらす一方、貨物では国際フェリー輸送の強みを発揮できるとの声も上がる。船社側はかねて、国際フェリーが航空貨物輸送の代替路になるとして、優位性をアピールしてきた。

 航空輸送では旅客需要の減少を受け、中国や韓国をはじめとするアジアと日本を結ぶ旅客便の休止・減便が続く中、貨物輸送はスペースが逼迫(ひっぱく)しているとされる。リードタイムが短い国際フェリーはこうした貨物需要の受け皿になり得るとの見方だ。

 関係者によると、春節後の中国側の工場稼働再開遅れなどのため、足元では貨物輸送需要は限られているという。一方、別の関係者は「(航空貨物の逼迫を受け)既に問い合わせは来ている」と話す。

 国際フェリー輸送はコスト面で航空貨物に対し優位だが、主に航空貨物を利用する企業からは認知度が低いのが課題だった。関係者は「BCP(事業継続計画)の観点からも、国際フェリーの活用を促したい」と、顧客の裾野拡大を図る意向を示す。

 

 

日本海事新聞 電子版 2020年03月05日 デイリー版3面 物流/港運 より

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